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最近の不動産相談事例

最終更新日:令和6(2024)年2月1日

 東京都の不動産業課の窓口には電話や来訪などにより様々な相談が寄せられています。それらの相談事例をご紹介することにより、都民の皆様が宅地建物取引業者(以下「宅建業者」という。)との間で、不動産取引や賃貸住宅のトラブルに巻き込まれないためのご参考となれば幸いです。

<売買のトラブル>

<賃貸のトラブル>

      不動産取引に関する相談及び指導等の概要(令和4年度)の公表についてNEW

 宅地建物取引業者や消費者への注意喚起・啓発等を行い、宅地建物取引業の適正な運営と不動産取引の公正を確保し、消費者の利益保護と不動産流通の円滑化を図るため、不動産取引に関して都に寄せられた相談や、都が業者に対し行った指導等の概要を公表します。
不動産取引に関する相談及び指導等の概要(令和4年度)の公表について(PDFファイル249KB)
不動産取引に関する相談及び宅地建物取引業者指導等の概要(令和4年度)(PDFファイル1.04MB)

過年度はこちら 令和3年度(PDFファイル1.05MB)

1-1 しつこい投資用マンションの勧誘

<事例>

 最近、Aさんは、宅建業者Bより「投資用マンションを購入しませんか。」という勧誘の電話が自宅にかかってきました。購入の意思がなかったため、断って電話を切ったところ、後日、また同じ宅建業者Bから投資用マンションの勧誘電話がかかってきたので、再度購入意思がない旨を伝え、断りました。
 その後、電話を切ってもすぐにかかってきたり、夜遅い時間に電話がかかってきたりして、非常に迷惑しています。(※)

※ 消費者がはっきり断っているにもかかわらず、宅建業者が電話による長時間の勧誘、その他私生活や業務の平穏を害するような方法で勧誘行為を続けることは、宅地建物取引業法で禁止されている行為です。

<対応策>

 このような勧誘に対して、購入の意思がない場合は、相手方にはっきりと購入の意思がない旨を伝えて断ることが第一です。
 宅建業者が業者名や担当者名を名乗らない場合もありますが、はっきりと業者名等を名乗らない相手とは、実際に接触することを避けましょう。
 購入意思がないにもかかわらず、宅建業者と会う約束をしてしまった結果、長時間にわたり勧誘され、結局、不本意な契約をしてしまった事例もあります。
 宅建業者に対し、はっきりと購入の意思がない旨を伝えて断っているにもかかわらず、その行為が続きお困りの場合は、東京都にご相談ください。
 その際には、相手方に業者名や担当者名を確認してください。なお、後で宅建業者との間で、勧誘電話につき、言った言わないのトラブルにならないためには、録音や記録等をとることが得策です。

1-2 不動産の売却トラブル 相談事例

<事例 ① 希望の金額よりも安い金額で売却の契約を締結してしまった>

 宅地建物取引業者(以下「宅建業者」という。)から言葉巧みに不動産を売却するよう勧誘され、売買契約を締結してしまいました。契約後に改めて考えなおし、宅建業者に売買契約の白紙解約を申し出ましたが、宅建業者から「契約は成立している。解約したければ手付解約となるため、手付金の倍の金額を支払う必要がある。」と言われ困っています。

<対応策 ①>

・宅建業者からの勧誘に対して、売却の意思がない、又は希望の金額ではない金額で勧誘を受けた場合は、相手方にはっきりと売却の意思がない旨を伝えて断るようにしてください。

・売買契約を解約する場合、売却の場合は購入と異なりクーリングオフの適用がありません。契約締結前に慎重に検討のうえ話を進めるようにしてください。


<事例 ② 媒介契約締結時に白紙の売買契約書に署名捺印してしまった>

 自宅の売却の媒介(仲介)を宅建業者に依頼する際に、「媒介契約書」の署名捺印と併せて白紙の「売買契約書」(買主・日付・売買金額などが空欄)に署名捺印をしてしまった。
 後日家族に相談したところ売却に反対されたので売却を取りやめる旨の連絡を宅建業者にしたところ、既に買主が見つかり売買契約手続きは完了しており、手付金も本日振り込んだので契約は成立している、と言われてしまった。

<対応策 ②>

・署名捺印をする際は契約内容を良く確認し、不明な点は説明を受けて納得したうえで行うようにしてください。

・売却の依頼をする段階で締結する契約は【媒介契約】です。【売買契約】は買主と契約条件が折り合った後に作成されるものですので白紙の売買契約書への署名捺印は断るようにしてください。


<事例 ③ リースバックなど複雑な契約内容を理解しないまま契約してしまった>

 自宅に住み続けたまま所有権を売却し、そのまま賃借人として自宅に住み続けることができる契約(いわゆるリースバック契約)を提案され、売買契約及び賃貸借契約を締結した。契約のメリット・デメリットを良く理解しないまま契約してしまったため、売却価格や賃料について納得できず、契約したことを後悔している。

<対応策 ③>

・契約内容が複雑で理解できない点があるときは、宅建業者にていねいな説明を求め、信頼できる近親者等に相談するようにしてください。

・それでも理解できない事がある場合は、自分一人で説明を受けるのではなく、信頼できる近親者等に同席を求め一緒に説明を聞いてもらうようにしてください。

・住宅の「リースバック」について、国土交通省では、有識者や不動産業界団体で構成する「消費者向けリースバックガイドブック策定に係る検討会」での議論を踏まえ、特徴や利用例、トラブル例、利用する際のポイント等を取りまとめた消費者向けのガイドブックを策定・公表しました。

 国土交通省HP
https://www.mlit.go.jp/report/press/house02_hh_000174.html

<事例 ④ 専任媒介契約を締結したのに、物件のレインズ登録がされていない>

 所有する物件の売却の媒介(仲介)を宅建業者に依頼し、専任媒介契約を締結した。ところが、いつまでも買い手がつかないでいたところ、この業者が、レインズに物件登録をしていないことが判明した。

<対応策 ④>

・専任媒介契約を締結した宅建業者は7日以内に、専属専任媒介契約を締結した宅建業者は5日以内に、契約の相手方を探索するための宅建業者間の情報ネットワークシステムである「レインズ」(指定流通機構)に、物件登録をすることが義務付けられます。
登録により、業者間で広く物件情報が共有され、早期に売却することが期待できます。
専任又は専属専任媒介契約では、依頼者は重ねて他の業者に依頼できないデメリットがあるにもかかわらず、レインズへの物件登録がなされないと、早期に成約しやすくなるメリットを享受できません。

・宅建業者には、レインズ登録後、登録済証を依頼者に遅滞なく交付する義務もありますので、専任又は専属専任媒介契約を締結したら、宅建業者に対して登録済証の交付を要求するとともに、登録内容をよく確認するようにしましょう。

・なお、専任又は専属専任媒介契約を締結した宅建業者は、ほかにも、業務処理状況の報告義務(専任の場合は2週間に1回以上、専属専任の場合は1週間に1回以上)、申込があった場合に遅滞なく報告する義務などがあります。

2 売買契約におけるローン特約の適用の可否

<事例>

 Aさんはマンションの契約をして、契約後に、X銀行にローンの申込みを行ったところ、不承認となってしまいました。
 宅建業者Bから、Y銀行に申込むように言われて手続きしたところ、同じく不承認となったため、ローン特約により白紙解除したいと宅建業者Bに申出たところ、「まだ他の銀行に申込むことができるので、ローン特約で解除することはできない。」と言われました。※
  ローン特約で解除することはできないのでしょうか。
(Aさんが交付された重要事項説明書の「金銭の貸借のあっせん」についての記載は以下のとおりです。)

金融機関 金額 金利(年) 借入期間 返済方法 保証料・ローン事務手数料
都市銀行等 金1,500万円 2.50% 35年 元利均等 金融機関の規定による
金銭の貸借が成立しないときの措置
 平成○年○月○日までに、融資の全部または一部について承認が得られないとき、買主は、平成○年○月○日までは売買契約を解除することができる。
 融資利用の特約によって、売買契約が解除された場合、売主は、受領済の金員を無利息で遅滞なく買主に返還しなければならない。

※ Aさんの重要事項説明書のように「金銭の貸借のあっせん」の金融機関欄を「都市銀行等」のように銀行を特定していない場合、色々な銀行に申込みをすることになるなど、ローン特約の適用について争いが生じる原因となります。

<対応策>

 ローン特約は、ローンを前提とする売買契約をした際、ローンが不承認等の場合、売買契約を白紙解約(支払い済みの手付金等及び仲介手数料はすべて返還される。)とするものです。
 契約前に、以下の項目について具体的な条件を決めるとともに、金銭の貸借が成立しないときの措置を確認しておきましょう。
1.金融機関 2.金額 3.金利 4.借入期間 5.返済方法 6.保証料・ローン事務手数料 7.金銭の貸借が成立しないときの措置

3 不動産の購入申込みにおける預り金の不返還

<事例>

 マンション購入を希望していたXさんは、宅建業者Yを通じて、マンションを紹介され、購入の申込みをしました。
 その際、宅建業者Yより「契約前に、売主への値段交渉のために必要なので、預り金をいただきます。(※1)」と言われ、後日、宅建業者Yにお金を渡してしまいました。
 その後、契約前に購入申込みをキャンセルして、宅建業者Yに預り金の返還を求めましたが、なかなか応じてもらえず、現在もお金が返ってきません。(※2)

※1 契約前に、申込金・申込証拠金・予約金・交渉預り金等の名目で、預り金を求められることがあります。この預り金の返還をめぐって本件のようなトラブルが見られます。
預り金は、成約に至らなかった場合、返還される性質のお金です。

※2 このような預り金の返還を拒む行為は、宅地建物取引業法で禁止されている行為です。

<対応策>

 東京都では、契約に際して「原則として、宅建業者が高額の預り金を受け取ってはならない」と宅建業者に指導しています。
 宅建業者に請求されても、契約前に安易に高額なお金を預けるのは、やめましょう。

4 インターネット広告(おとり広告)

<事例>

 アパートを借りようと思ったXさんは、インターネットの賃貸物件情報サイトで物件を探したところ、気に入った物件が見つかりました。早速、その物件を取り扱っている宅建業者Yに電話をしたところ、すぐに宅建業者Yの事務所まで来るように言われました。事務所に行き、インターネットで見つけた物件を内覧したいと言ったところ、その物件は既に契約済みだと言われ、他の物件を紹介されました。(※)電話で問い合わせた時には既に契約済みだとは一言も言われなかったのに・・・

※ おとり広告
 借主を事務所に誘引するために(客寄せのために)、実際には契約できない既に契約済みになった物件をそのまま削除せずに広告掲載している場合があります。
 また、実際に存在しない物件を広告掲載しているような悪質なものもありますが、このような行為は宅地建物取引業法で禁止されている行為です。

<対応策>

 インターネット情報サイトで気に入った物件を見つけた場合は、宅建業者の事務所へ行く前にその物件が既に契約済みになっていないか等、電話等で宅建業者に事前に十分確認しましょう。

5 内見をしないで契約

<事例>

 インターネットで賃貸の部屋を探していたところ、気に入った物件があったので、宅建業者に電話をしました。
 宅建業者から「その部屋は、まだ入居者がいるため内見できないが、人気が高いので早く契約した方がいい。」と言われたので、内見をせずに重要事項説明書と契約書に記名押印してしまいました。
 ところが、入居後、実際の部屋の状況がインターネットで見た条件や契約前の宅建業者の説明と異なる点があり、思っていたものと違っていました。

<対応策>

 入居後に、実際の部屋の状況が契約前の宅建業者の説明等と異なる点があったとしても、業者が誤った説明をしたことを認めず、その証拠がない場合、そのことをもって契約の解除をすることは困難です。
 住まいは長い期間を過ごす生活の拠点になるものです。契約後に後悔することがないよう、自分の希望条件に合うか十分に現地と部屋の確認をしましょう。
 物件の内見だけではなく、最寄り駅からの所要時間、交通量、騒音など周辺の環境も条件に合うか確認しましょう。なお、時間帯や曜日を変えて現地や部屋を見ると、環境等に違った発見がある場合があります。

6 ペット不可の契約

<事例>

 ペットを飼うことを条件と宅建業者に伝え、賃貸の部屋を紹介してもらいました。
 契約前に、重要事項説明書と契約書を確認したところ、「ペット不可」と記載されていました。
 そのため、宅建業者にペットが飼えるか再確認したところ、「ペット不可となっていますが、内緒で飼えば大丈夫ですよ。」と言われましたが、本当に問題がないか不安です。

<対応策>

 賃貸借契約には、ペットの飼育や楽器演奏などについて、禁止又は制限される事項が定められている場合があるので、契約前に重要事項説明書の「用途その他の利用制限に関する事項」や契約の内容を必ず確認しましょう。
 たとえ宅建業者から「大丈夫ですよ。」と言われたとしても、契約書において禁止されている以上、契約違反として貸主から契約の解除を求められることもあります。このようなケースでは、当然、宅建業者に問題がありますが、禁止されていることを知りながら契約し、ペットを飼う借主も責任を問われることになります。
 また、契約書に禁止事項が何も記載されていない場合もトラブルになるので、口頭で確認したことは、できるかぎり書面に記載してもらいましょう。

7 退去時の原状回復

<事例>

 賃貸住宅の退去にあたり、敷金の精算明細書が届きました。敷金は家賃の2ヶ月分預けていましたが、敷金以上の請求があり納得できません。
 精算明細書の内訳は「畳の取替え・壁クロスの張替え・ハウスクリーニング一式」となっていますが、きれいに使用し、傷もつけていません。本当に精算明細書のとおりに支払う必要があるのでしょうか。
 貸主と敷金の精算について話し合いをしていますが、なかなか解決ができそうにありません。

<対応策>

 原状回復とは、入居当時の状態にまで戻すことをいうのではなく、借主の故意・過失や通常の使用方法に反する使用など、借主の責任によって生じた損耗やキズなどを復旧することをいいます。
 また、契約書に当事者間の特別の約束(特約)がある場合、原則として、その特約を守らなければなりません。ただし、特約はすべて認められるわけではなく、裁判の結果、特約が無効と判断されることもあります。
 原状回復の費用負担について当事者間で話し合いにより解決できないときは、60万円以下の金銭の支払を求める訴訟であれば簡易裁判所での少額訴訟制度を利用することもできます。

※ 貸主と借主の原状回復の費用負担については、「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」を参照してください。

お問い合わせ先

賃貸住宅に関する相談、不動産取引の事前相談
民間住宅部 不動産業課 賃貸ホットライン
(直通) 03-5320-4958

不動産取引(売買・賃貸)のうち、宅地建物取引業法の規制対象となる内容についての相談
民間住宅部 不動産業課 指導相談担当
(直通) 03-5320-5071

不動産取引紛争等の民事上の法律相談(弁護士相談)
民間住宅部 不動産業課 不動産取引特別相談室
(直通) 03-5320-5015(予約制)