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平成28年度 第1回 東京都住宅政策審議会企画部会 (平成28年6月2日)における資料及び主な意見の概要

最終更新日:平成28(2016)年7月20日

資料

議事概要

  • ・ これまでに議論した「企画部会第一次報告」「企画部会第二次報告」を取りまとめた「答申素案(検討案)」について議論を行った。
  • ・ 次回審議会にて、「答申素案」として報告を予定する。

主な意見の概要

【答申素案(検討案)について】

<全体に関する意見>

○ 非常によくまとめられているが、答申素案の内容が実現され、東京自体が非常に魅力的になった場合、本当に人口が減少するのか。外国人の増加や地方からの人口流入になる可能性もあり、人口減少前提のシナリオだけでよいのか。

○ 全体を通して見ると、目標ごとに施策を記載したため、高齢者と子育て世帯の地域が別にある気がして、多様な人々が活き活きと暮らしているコミュニティというイメージが浮かんでこない。

<着眼点>

○ 冒頭の「目標の実現に向けた『3つの着眼点』」の「(2)多様な主体・分野との連携」に関しては、多様な主体の中身が漠然としていて現行のマスタープランではわかりにくい感じがあった。検討案では連携する主体を具体的に例示として挙げているので、とてもわかりやすくなっている。

○ 周辺の政策との連携は非常に重要。防災、福祉、都市づくり、建築については、かなり具体的に、答申素案全体の中で触れられている。しかし、経済、雇用について、この案では連携の具体的イメージが持てない。東京の活力、豊さの源泉は、中小企業の経済活動であり、地域経済である。小規模企業やサービス業は街中に住宅とともに混在しており、目標6の「都市づくりと一体となった団地の再生」か、目標8の「活力ある持続可能な住宅市街地の実現」あたりに、政策の連携として少し書き込めないか。

<目標2 高齢者の居住の安定>

○ 高齢者に関する施策は住宅に特化した形になっている。高齢者の生活空間は、住宅の中だけがバリアフリーになったらいいという話ではなく、住宅を取り巻く生活道路などの生活環境そのものが、高齢者にとって生活しやすい場であったほうがいい。

○ 「④近居・多世代同居の促進」について、「環境整備を検討すべきである。」と書かれているが、具体性がない。住宅業界では、近居や多世代同居を行うための増築可能となる容積率緩和をしてくれという話が盛んに出てくるので、そういったことも検討してはどうか。さらに、コミュニティの中で高齢者が何かの役割を持てるような仕組みができると、もっといきいきとした高齢者の生活が実現するのではないか。

<目標3 住宅確保に配慮を要する都民の居住の安定>

○ 人口が減少する見込みであることから、都営住宅の有効活用を基本的方針としているが、応募倍率を見ると、理由として弱いのではないか。可能であれば、大量にある空き家の状況や住宅ストックの状況、財政的な制約などの理由を加えたらいいのではないか。

<目標4 良質な住宅を安心して選択できる市場環境の実現>

○ 情報開示の話が出ているが、マンションの管理情報は、出し手である管理組合の理解・協力が必須なので、管理組合に開示に関する理解・協力を求めるとともに、ガイドラインで業界団体が作成している共通フォーマットを例示して利用を推奨するというような流れにしたほうが、情報の出し手としては納得してもらえるのではないか。

<目標5 安全で良質なマンションストックの形成>

○ 管理不全や適正な維持管理が行われない状況の背景として、管理が良好なマンションが高く評価されない市場構造が考えられるとしているが、合意形成や管理組合の担い手不足などもあるので、全部を集約したような形で評価問題に帰結するのはどうか。

○ 超高層マンションの存在自体が課題となっているように読めるので、「空き住戸などについて、管理をめぐる新たな問題が生ずることが懸念されている。」という表現のほうが、誤解を生まないのではないか。

○ 「(2)施策の方向性」で、「老朽マンション等の再生の促進に向けて総合的に施策を推進していくべきである。」と記載しているが、都心部で立地条件が良くて、可能であれば建替えを進めたい老朽マンションであっても、今の規模では建て替えられないとか、そのままのマンションの敷地だけで建て替えると十分な還元率がなく、再開発で再生しないと難しいなど、諸問題があると思う。そういういろいろな検討課題について、今後、都市計画規制側で対応できること、国に要望することなどもあると思うので検討してほしい。

<目標6 都市づくりと一体となった団地の再生>

○ 基本的に、東京都の住宅は9割以上が民間住宅。団地の数も、民間の数が多いのではないかと思うが、団地の再生についての施策については、「公共」関連のものにウエィトが置かれている。数の観点から見た場合、民間のものについては薄いような印象をもった。記載の仕方を工夫してはどうか。

<目標7 災害時における安全な居住の持続>

○ 災害に強い居住や居住環境、まちづくりの形が、特に、大災害に対して、河川や下水道など重要な点については記載されているが、ある一定期間のエネルギー供給について記載がない。戸建住宅での蓄電池の話など、省エネルギーと関係したいろいろなアイデアが採用されつつあるが、エネルギーの観点から記載してほしい。

<目標8 活力ある持続可能な住宅市街地の実現>

○ 「活力ある」という施策内容が、空き家対策を通じて住宅市街地の荒廃を未然に防ぎ、それを契機に活力を図るという記述になっているが、「活力ある住宅市街地」とは一体何か、という記述が不足している。また、モデル的な例として選手村の記載があるが、少し唐突なので、地域コミュニティの活性化や福祉・商業施設、店舗などの整備による利便性の拡充など「活力ある住宅市街地」のイメージのようなものが、表現されるとわかりやすいのではないか。

○ 空き家の有効活用にウエィトが置かれていると思うが、有効活用できる空き家ばかりではなく、活用の道がない空き家のほうが実態として多いのではないか。活用できないものは除却、ということも記載したほうがいいのではないか。

○ 「①空き家対策の推進」の「(既存ストック活用による地域の活性化)」のところで、「空き家を住宅以外の用途として活用する際に」という記述があるが、住宅以外の用途、暫定的な利用等も視野に入れて、柔軟な活用を進めなければいけないということもある。論点とは違うかもしれないが、民泊の問題も将来的な課題なのではないか。

【企画部会終了後に提出された意見】

<目標5 安全で良質なマンションストックの形成>

○ マンションの管理状況の適正評価を進めており、「管理状況が適正に評価されない」と断言するのは避けてほしい。