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平成27年度 第3回 東京都住宅政策審議会 (平成28年2月1日)における資料及び主な意見の概要

最終更新日:平成28(2016)年5月10日

資料

議事概要

  • ・ これまでマンション部会で取りまとめた、「(仮称)東京都マンション施策推進計画素案(案)」について、議論した。
  • ・ これまで企画部会で議論した内容について取りまとめ、「企画部会における検討状況」として審議会へ報告を行った。

主な意見の概要

【「(仮称)東京都マンション施策推進計画素案(案)」について】

<「計画策定の背景と目的」について>

○ 大規模な分譲マンションほど、その中での所得格差が広がり、大規模改修や老朽化の対策、さらには再生の合意が非常に困難になっている。高齢者や低所得者が切り捨てられることがないように、その点を配慮すべき。

<「施策展開に当たっての基本方針」について>

○ マンション管理組合は、自治会・町会とは違って、区市町村との直接のパイプがない。管理組合を地域のコミュニティ組織として位置付け、特に防災活動では行政としての支援対象にしていくことが大事になってくる。

<「マンション施策の目標と具体的な施策展開」について>

○ ポータルサイトなどを使って情報提供することは良いが、情報が本当に必要とされている老朽マンションなどには高齢者が多いため、ITの情報がなかなか届かない。冊子による啓発・普及が重要である。

○ 適正管理の問題は区市町村任せではできず、都の役割は重要である。老朽化マンションだけではなく、新築のマンションにもディベロッパーや管理会社の問題点などが発生している場合もある。都は、マンション啓発隊など、縮小せずに積極的に普及啓発に取り組むべき。

<「老朽マンション等の再生の促進」について>

○ マンションの建替えはこれまで120件しか例がなく、自力で建替えができるところしか実施していない。これからは、自力で建替えや再生ができないマンションなどを公的支援の対象にするなど思い切った施策が必要だと思う。

○ マンションの耐震化が重点的に触れられているが、首都直下型地震が起きた場合、大きなリスクとしては火災、とりわけ、通電火災の問題がある。今後建設されるマンション等に対しては、各住居に感震ブレーカーの設置を義務付けるといったソフト面での防災対策も必要である。

○ 「目標6 まちづくりと連携した老朽マンション等の再生」について、先に地区を指定し、その後事業等を起こしていくタイプもあるが、街路事業や連続立体交差事業、区画整理事業など、ある種の基盤整備が行われることが確実であって、その周辺にあるマンションも同時に検討することが可能であるならば、良いチャンスだと思う。対象地区の選定要件をあまり厳しく絞らないで、少し柔軟に考え、進めてほしい。

<「国等への働きかけ」について>

○ 「団地型マンションの再生の円滑化」について、東京都の場合は、団地やマンション単独ではなく、その周辺も含めて再開発することとなるが、国が考えていることでは対応できない可能性がある。マンション及び周辺の一戸建なども含めて、全体として都市再開発の対象にするような制度の構築について、都から国へ働き掛ける必要があるのではないか。

<「今後の検討課題と対応」について>

○ 今後予想される「超高層マンションの増加」「居住以外の目的でのマンションの所有・利用」「マンションにおける空き住戸」などの問題については、先手で対応策を練っていく必要がある。防災の問題や、投資で超高層のフロアが買われている状況、観光客が増えて民泊の実態が見えてきている中で、今回の計画に盛り込むなど、先手で対応策を練ってほしい。

○ 「居住以外の目的でのマンションの所有・利用」が、私たちの想像を超えて急激に進む可能性がある。東京全体の世帯の47%は単身世帯だが、今までファミリー向けのマンションも多く建築されてきた。今後さらに一人世帯が増えると、通常のファミリー向けのマンションの利用は望めない。居住目的以外の利用にどのように対応するかが大きな問題となる。

○ 「居住以外の目的でのマンションの所有・利用」については、管理不全のマンションにわからない人が入ってきて集団居住をするようなネガティブな利用と、共同的な利用をして福祉目的や子育て目的などで利用するといったポジティブな利用があると思う。現場に入ってみないとなかなか判断がつかないが、場合によっては行政が現場に立ち入ることが難しい部分もあるので、今までのマンション管理士や専門家派遣とは違った方法でフォローをしていかないと間に合わないのではないか。

○ 「マンションにおける空き住戸」について、分譲マンションの場合、35歳前後から、遅くとも40代前半が住宅を取得する。年ごとのマンションの建設数と合わせて考えれば、相続などの世代交代が発生するマンションがどこで、どのくらい存在するのかかなり予測がつく部分があるので、どうしたらよいか、早急に考えておく必要がある。

<その他>

○ こうした計画の中で、直接東京都が行う部分と、自治体を通して働きかける部分があると思う。各自治体に期待される責任を全うするにあたって、現実は様々な課題があってスムーズに進行していない部分もある。各自治体に、きちんとヒアリングし、また、様々なモデル事業等も含めて、各自治体が責任を果たせるような流れをつくれるようにしてほしい。

【企画部会における検討状況について】

<住宅市場について>

○ 個人所有の住宅をどのように長寿命にし、また、更新していくことを考えると、ある一定の地域内での共同化と、それに対する公的支援が必要である。個人の力だけでは、長寿命化はなかなか難しい。

○ 「賃貸住宅のトラブル防止」の項目に関連して、最近、賃貸住宅において、DIY賃貸、セルフリノベーションを積極的に推進していこうという大きな流れがあるが、原状回復がトラブルになるのではないかと危惧される。セルフリノベーションやDIY賃貸に対して、賃貸住宅トラブル防止ガイドラインの中に盛り込んではどうか。

<大規模住宅団地について>

○ 都営住宅団地では、高齢化が極端に進んでおり、こうした大きな住宅団地のソーシャルミックスを本気で進めることが重要である。そのために、ハードの問題というよりは、ソフトの仕組みをどうつくるかということに相当苦労しなければならないのではないか。

○ 大規模団地ゆえに必要な公共施設が、最初は保育園、次に学校、そして様々な公共施設、最後は高齢者施設というように、時代とともに次々変わっていくことが繰り返される。ソーシャルミックスの中で、世代間の公平性、公共施設の配置をどのように実現するかは、長期的に見通した上で、ソフトの仕組みを検討することが必要である。

○ URなど賃貸住宅に住む高齢者などは、仕事を引退すると、家賃の値上げに対応できず、餓死や孤独死につながるといったことが現実的に起きている。公平性の問題等があるが、金銭的な支援もしくは、バウチャーのような支援など、早急に、賃貸に住む高齢者の家賃の支援、住まいの確保について検討すべきである。

<「防災対策」について>

○ 「都外への避難者に対する都道府県での応急仮設住宅等」に関して、東日本大震災では、6割の方が「みなし仮設」という、自分で借り上げた住宅に住んでいた。東京で災害があった場合の大事な施策であり、住宅を「迅速に供給する」という言い方ではなく、事前にきちんとした住宅の情報を把握しておき、情報提供するなり、施設の立地とニーズとを合わせるなど検討しておく必要がある。

<立地に応じた住宅施策について>

○ 「立地に応じたメリハリのある施策展開」では、木造密集市街地のことしか記載されていないが、土砂災害などのリスクもあるので、その点についても記載することが必要である。また、立地適正化計画については記載が必要である。例えば「公共施設等総合管理計画」、「地域公共交通の再編実施計画」などと一体的に考えるというメッセージを入れることが必要である。

○ 立地適正化計画について国レベルでは議論が始まっており、コンパクト・アンド・ネットワークについて、都市の規模をどうするかが話題になっている。東京都においても2020年東京オリンピック・パラリンピック後は人口が微減に入る。残れる郊外・残れない郊外、残れるマンション・残れないマンション、残れる住宅地・残れない住宅地が、はっきりしてくると思う。そのときに一番困るのは、住人で、空き地や空き家が周囲に増えてしまうと、外部不経済を被ることがある。人口減、世帯減による地価下落で固定資産税の税収も減り、市町村も大きな影響を受ける。こうした点をどう考えるのか、問題提起しておきたい。

<その他>

○ 住宅と、福祉施設や医療施設などを適正に配置していくことは重要だが、施設の配置を計画的に進めていくだけではなく、居住のプロである不動産業者、福祉の社協、精神障害者へ支援を行うNPOなど、施設に限らず様々な方々が連携していくような試みを行う姿勢を打ち出すほうが、効率的な対応ができるのではないか。

○ 「住宅市場」は、国の政策に関わる内容であり、「住宅団地の再生」、「空き家対策」、「防災対策」、「立地に応じた住宅施策」など、立地特性に応じたことは区市町村の政策が重要な役割を果たす。都の役割がはっきりしていないものが多く整理が必要である。