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平成27年度 第6回 東京都住宅政策審議会企画部会(平成28年1月25日)における資料及び主な意見の概要

最終更新日:平成28(2016)年5月10日

資料

議事概要

  • ・ 「住宅団地の再生」、「立地に応じた住宅施策のあり方」についての基本的な考え方や、検討すべき論点について議論を行った。

主な意見の概要

【住宅団地の再生について】

○ 2040年代には「社会インフラ」の考え方が変わってくると思う。一つはエネルギーのインフラであり、エネルギーをいかに上手に使うかということも、住宅団地の再生の中で重点的に取り組むべき項目になるのではないか。もう一つは、鉄道やバス路線といった移動手段が、今後は高齢化に伴い変わる可能性がある。例えば、電動車椅子が走るための対応など、高齢化に合わせて考えながら団地再生などを進める視点が必要なのではないか。

○ 大規模集合住宅団地と大規模戸建住宅団地は、団地ごとにカルテを作成し、調査、分析することが重要である。

○ 公的な賃貸住宅団地は、家主であるURや公社、都がきちんと対応すれば、様々な取組ができる。しかし、大規模戸建住宅団地などでは、所有者の合意形成が困難であることや、住人の経済的な条件や、建築年次による耐震性の違いなどの条件などが様々であり、調整は困難な状況にある。こうしたこともカルテを作成して調査、分析して対応するべき。

○ 住宅団地の再生には、再生のディベロッパーと資金が必要である。しかし、再生を図ることができる専門のディベロッパー、専門組織がない。また、資金についても、再生する場合の資金の出し手のルールが全く決まっていないので調達が困難である。住宅団地の再生は、金融や税制の問題が非常に大きいため、そこに手を付けないと、団地再生は動かない。身近なところに投資して、身近なリターンがある、地域ファンドのような、地域の中に再生資金をプールするような仕組みを考えてはどうか。

○ 社会インフラは、20年後、30年後の東京の基本的な都市インフラを考える際に、重要な一つのポイントである。特に、団地再生などの場合は、規模をいかして、どのようにして社会変化に対応したインフラ整備を行っていくのか、検討すべき。

○ 都営住宅については、都が事業主体として直接関われるが、公社住宅、UR賃貸住宅、民間の住宅団地については、都の行政としての関わり方に濃淡が出てくる。施策の実効性に影響が出てくる部分であり、行政の関与の度合い、関わり方についても十分に視野に入れ、検討の方向性を認識しておく必要がある。

○ 住宅団地の再生に当たって、創出用地などの住環境ストックをうまく活用するため、PPPの手法が用いられることも多いが、民間活力の活用というよりも、むしろ、公共セクター側の役割が重要であり、今までとは違った工夫が要求されていると思う。

○ 新規の戸建住宅やマンション、商業施設、公益施設などを取り入れ、地域再生や団地再生を進める中で、新たなエリアマネジメントの組織を立ち上げる際には、公共セクターの役割が大きい。今までの地元組織とは違う発想でどのように作り上げるか、どう育てるかという視点が大事ではないか。

○ 昨年40歳であった1975年生まれ以降の人口は一貫して減り続けているので、住宅の新規開発需要が少なく、2040年の東京は、大量の移民でも来ない限りは、団地再生の余剰地がさばけなくなることを認識する必要がある。

○ 特に郊外の住宅団地の再生は、鉄道事業者にとって死活問題である。やがて利用者が減少し、そもそも経営が成り立たなくなる可能性もある。鉄道事業者の方々の話を聞いて計画づくりにいかすべき。

○ 自動車の全自動運転が実現すると、坂道が多いなど高齢者が生活しにくい立地の問題等が、今後解決できる可能性があるので、そうした知見も取り入れることが必要である。

○ 空き家の利活用や、団地再生には、人的パワーがないとうまくいかない。今後は元気で時間にゆとりのある高齢者が増えるので、その方たちの力をうまく引き出せるような仕組みづくりを、住宅施策の中でも検討すべき。

【立地に応じた住宅政策のあり方について】

○ 重点供給地域を見直して、メリハリのある政策を展開するという考え方が必要である。見直しに当たっては区市町村との調整が難しいと思うが、客観的な基準を都として幾つか決めて、調整することが必要である。

○ 東京であっても全ての住宅団地・住宅地を救うことは困難だと思う。都市計画分野で立地適正化計画を立案する中で、居住誘導地区を検討することになるが、残れるところと残れないところの選別が進んでいく。全ての住宅団地・住宅地が良くなるとは言えないということを、どうアナウンスして、住民や基礎的自治体に再生に向けて働きかけていくかが大きな論点である。

○ バブル期のように、住宅供給を強く進めるという重点供給地域から大きく転換し、住宅市街地を更新・再生などにメリハリをつけてターゲットを絞ることは必要である。新規開発で超高層マンションだけを建設する様な計画を今後も進めていくのか。新規大量供給ができる場所は、メリハリをつけて考えていく必要がある。また、総合設計制度は、簡易に容積緩和が受けられる仕組みになっているが、その仕組みを中長期的にどうするのかを検討すべきである。

○ 立地に応じた住宅施策のあり方の検討の際は、都市計画分野だけでなく、地域包括ケアシステム、地域医療、地域防災についての計画も、同じ場所を対象にそれぞれある。現実に生活している人には、住まいが中心となって全ての計画が串刺しのように関係しているので様々な計画についての考察が必要ではないか。

【企画部会での検討状況報告について】

○ 住宅市場や空き家対策については、高齢化が進んでいくと、住替えや相続も問題になってくため、弁護士など法律の専門家も含め、幅広い関係機関と連携し、相談窓口の幅を広げることを検討すべき。

○ 良い住宅を建て、きちんと手入れして長く大切に使うということが議論されてきたが、空き家の発生と住宅市場は表裏一体の関係にある。既存ストックの有効活用という着眼点だけでなく、既存ストックを活用して循環型の住宅市場を形成するということを打ち出していくべき。

○ 循環型の住宅市場について、人の居住の場所も変わってくるので、単純に今の立地のままではうまくいかず、ストックが適正に配置された後に循環が起こると考える必要がある。

○ 循環型の住宅市場の形成について、極端にいうと新しいものは建てないということであり、企業からするとビジネスモデル自体を変えなければならないということである。ビジネスモデルを提案しないとなかなか実現は難しい。

○ 住宅政策の基本方針として、生涯にわたる都民の豊かな住生活の実現ということを議論してきたが、今後の東京の国際化を考えると海外からの人の出入りもきちんと考えていく必要がある。