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平成27年度 第1回 東京都住宅政策審議会 (平成27年7月6日)における資料及び主な意見の概要

最終更新日:平成27(2015)年11月12日

資料

議事概要

  • ・ これまでマンション部会で取りまとめた、答申素案の(案)について審議を行い、審議会として「答申素案」を取りまとめた。
  • ・ 今後、マンション施策については、平成27年9月に答申を行う予定。また、知事からの諮問に対する最終的な答申については平成28年夏頃を予定。

主な意見の概要

【マンションの適正な管理の促進について】

○ 耐震改修や建替えの対象となるような一定の築年数を経過したマンションほど、居住者の高齢化や賃貸化が進行しており、管理組合の機能が低下する傾向にある。まずは管理組合を活性化し、日常的な維持管理の適正化を図るところからしっかりと取り組んでいくことが必要である。

○ 居住者は基本的にマンション管理については素人であるし、組合役員も交代する可能性がある。管理組合をしっかりサポートする事業者の育成が必要ではないか。

○ 東京でも空き家率が高い地区がある。こうした中で老朽マンションの実態を把握するのは大変難しい。実施に当たっては、戸建住宅やマンションの状況を最もよく把握している地元自治体の協力が不可欠である。

○ 既存マンションの流通時に既に開示されている情報や、登記簿、固定資産税台帳などからもかなりの基本情報を得ることができる。こうした情報の活用も検討する必要があるのではないか。

○ マンションの長寿命化に向けて努力している管理組合の取組を評価することは誘導策として非常に重要である。一方で、管理不全の兆候がある管理組合を具体的に把握することは非常に難しい。近隣へ悪影響を与えない、ということを条件の一つとして考えてもよいのではないか。

○ 豊島区は2年前に、全国に先駆けてマンション管理推進条例を制定した。区内の8割が共同住宅という状況であり、マンション管理の適正化が大きな課題である。築年数を経過したマンション等には、実態として管理組合が組織されず、これまで地域の町会と接点を持たなかったものも多い。条例の制定を機に、管理組合を組織して町会に加入し、防災等の情報を共有化するマンションが増えるなど、地域のコミュニティの活性化に大きな効果がもたらされている。都の条例化の検討も積極的に進めるべきである。

○ 東京近郊でも郊外の大規模団地などでは空き家が増えており、管理不全の兆候が出始めている。こうした状況を放置しておくと将来大きな社会問題となる。問題が深刻化する前に、今から予防のための手立てを講じていくということは大変重要であり、実効性のある手段が求められる中、条例化には賛成である。

○ 条例の制定に当たっては、私有財産であるマンションに対し、どのような場合であれば規制的な措置が許されるのか等、法律的な検討が必要である。また、区市町村と十分に協議しながら取り組む必要がある。拙速に進めるよりは、試行的な取組を通じて課題を整理した上で、十分な検討を行い、実効性ある仕組みとなるよう取り組んでいく必要がある。

○ 東京都の優良マンション登録表示制度をより一層普及させるためには、利用者に対するインセンティブが必要ではないか。暫定的な措置でも効果が期待できるのではないか。他制度も参考にしながら、管理組合やディベロッパーの意見なども踏まえた上で、着実な活用に向けて検討を進めるべきである。

○ ディベロッパー等の供給側による売却時から、適切なマンション管理運営や将来の再生につなげていくような観点が必要なのではないか。

【老朽マンション等の再生の促進について】

○ 分譲と賃貸が混在している大規模団地では、分譲棟の合意形成が困難なため、再生が進みにくいなどの課題が多い。そうした団地を抱えている基礎自治体と都の連携強化を図る必要がある。

○ 都市には若い世帯が非常に多く流入しており、未だに待機児童の解消が課題となっている。マンションの再生の際に、保育や児童福祉に関連する施設との連携を検討することも必要ではないか。

○ マンション再生まちづくり制度などの取組は、マンション居住者のみならず、周辺の都民の命を守ることにも繋がる。まちづくりの本質的な課題の多くは区や市だけで解決できるものではないため、都として積極的に関与すべきである。

○ 先行モデル事業で選定された地区と同じような課題を抱えたマンションは都内にいくらでもある。限られた財源を有効に使っていくために、どういうところを優先的に傾斜配分していくか考えることが重要である。

○ 老朽化したマンションの資産価値を維持又は向上するために、例えば空き住戸を管理組合が買い取るなり借りたりした上で、事業者に貸し出してそのクオリティをコントロールするなど、事業実施と絡めて考えるというのも、マンション再生の道に必要ではないか。

【その他】

○ 今後、分譲マンションに限らず、賃貸アパート、戸建住宅なども含めた、空き家・空き部屋対策が大きな課題となってくる。これらについて様々な形で対応できるよう相当慎重に検討していく必要がある。

○ 海外からの投資や外国人居住者の増加などにより進むグローバル化・ダイバーシティにおけるマンション管理の在り方などは、東京ならではの視点であり、今後検討が必要ではないか。

○ 既に行われている都の施策や、民間事業者の取組等をまとめた体系図があると、全体像が理解しやすくなるのではないか。

【住宅政策審議会終了後に提出された意見】

○ 区市町村によって、マンション施策を推進できる体制が異なるため、一律に実務の推進を求めるのは無理がある。都は区市町村の実情を踏まえ、特に施策実施の初期段階において人的、財政的支援を強化するなど、実務的な援助を行うべきである。

○ 現に、マンション管理士などによる外部の専門家を活用した管理方式が行われているが、管理会社などの意向が働き、不要な修繕や改修を実施するなど居住者に不利益をもたらす事態も生じている。この管理方式の導入については慎重を期すべきである

○ 条例の制定は、積極的なものであり評価するが、管理組合(区分所有者)に何らかのメリットがないと実効が上がらない。改修への助成制度による優遇策などの措置を講じて、その実効性を担保すべきである。

○ マンション再生の一層の円滑化に向けた国への働きかけについて、「マンション居住者の高齢化が進み、建替えが困難となっている実情を踏まえ、マンション改修への法制度の整備、国の助成策を検討すべきである。」との一文を入れるべきである。

○ 東京のマンション施策の目標について、人口減少によりマンション空き住戸の増加やスラム化が生じないよう、老朽マンションや耐震性不足マンションの建替えに当たっては、住戸の質を第一とし、戸数の減数化も検討すべきである。

○ 超高層マンションが都心部で林立し、周辺地の風害、防災、景観などの影響や関連公共施設(学校、保育園など)の不足などの問題点が指摘されている。超高層マンションへの都市計画・建築基準制度による規制策を国において検討すべきである。東京のマンション施策に当たっては、将来的に超高層マンションの建設・管理をどうしていくのかその方向性を明らかにすべきである。