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平成26年度 第7回 東京都住宅政策審議会マンション部会(平成27年1月26日)における資料及び主な意見の概要

最終更新日:平成27(2015)年5月20日

資料

主な意見の概要

【マンションの適正な管理の促進について】

○ 東京都が情報ポータルサイトを開設し、情報発信していくことは良いことである。
一方で、業界団体でも類似の取組を進めているところであり、これらとも連携を図りつつ普及啓発に積極的に取り組んでいただきたい。

○ 管理組合の実情は様々で、一括りにこうだと言えない部分がある。旧耐震や管理不全など行政が着目する部分も多いとは思うが、管理組合からみると、自己のマンションが相対的に見てどういった状況にあるのか把握しづらい。管理組合に対し一定の義務を課すにしても金銭面等で対応が厳しいマンションもある。旧耐震マンションに対する支援については、緊急輸送道路沿道以外のものにどのようなものがあるのか言及する必要があるのではないか。

○ 管理不全、管理不活発、活動不活性は必ずしも一致しない。管理組合活動が不活性でも物的な点では管理に問題がなく、外観上違和感のないマンションもある。また、明らかにマンション管理業の登録を受けていないと思われる管理会社が基幹事務を包括的に受託しているケースもある。区分所有者はその管理に満足しているかもしれないが、大変に危うい状況である。

○ 管理のレベルというよりは、衛生上・安全上明らかに問題があるものを管理不全とみるべきではないか。具体施策を進める上で、この点について共通認識を持った方が良い。

○ 管理の主体は管理組合であるが、自主管理ではなく圧倒的に委託管理が多い。客観的には管理ができているが、管理組合活動は行われていないというマンションもある中、日常的な管理を適正なものにしていくためには管理会社の役割が大変重要である。

○ 日常管理の9割以上が委託されている現状を鑑みれば、管理会社も高い専門性を有していると言える。管理会社の役割についても考慮する必要があるのではないか。

○ 管理会社の役割について触れる必要があるが、一方で、分譲業者の売り方の姿勢も重要である。分譲業者が、外国企業にまとめて売却してしまうと、そのマンションの区分所有者の大半を外国企業が占めることとなる。その多くは管理費や修繕積立金について認識が薄く、所有者となってから全く支払わないなど、深刻な滞納問題が生じている。このままでは管理組合の財政そのものが破たんしてしまう可能性がある。

○ 外国企業への一括売却というような分譲方法は、管理不全の原因が分譲時からあるようなものであり、原始規約の問題も包括するソフト上の瑕疵に当たる。

【マンションの管理状況の実態把握について】

○ マンションは基本的に私有財産であり、その取得・管理・処分は、原則自由である。自らの責任と自助努力で行う取り組みに対し、行政が必要な支援や関与を行うべきである。都内の分譲マンションの多くは、実際に適切な管理を行っていることから、全てのマンションの管理情報を定期的に把握し、指導を行う必要性は薄いのではないか。施策の展開や検討には情報把握が必要であるが、全てのマンションを把握しなければできないものではない。一方、旧々耐震マンションや、管理不全の結果として衛生上・安全上に明白な問題があるようなマンションについては状況把握が必要である。問題が鮮明なマンションには積極的に関与し、その他については従来どおり普及啓発を進めるという立場であるべきである。

○ マンションの現状や将来を考慮すれば、当事者や所有者の自治に委ねているだけでは問題が解決できず、さらに悪化してしまうというところに問題意識の根本がある。もう少し総論的な部分で、なぜ公的関与が必要なのかを丁寧に押さえた上で整理していく必要がある。

○ 分譲マンションは私有財産であり、都営住宅の管理とは違う観点が必要となる。国も、管理組合が適正化指針に基づいて管理しなくてはいけないと謳っているが、これも努力義務であり強制力は働かない。管理情報の把握のためにどこまで行政の関与が許されるのか、妥当なのかということについて引き続き検討していく必要がある。

○ 全てのマンションの管理情報を把握しコントロールするのは非効率であり、市場に情報公開し委ねる部分があっても良いと思うが、それだけでは済まないことも分かっている。対象の範囲を限定する、大きいインパクトのあるものには強めの公的関与を行うなどしてはどうか。緊急輸送道路沿道の物件や旧々耐震のマンション等、都市全体に大きな影響を及ぼすものについては、全体とは別の観点が必要であり、別の枠組みで捉えても良いのではないか。

○ マンションが個人・管理組合・行政の三者関係にあるということを明確に示すべきである。行政の関与・支援は、個人ではなく管理組合に対するものであることを明確にしつつ議論を行えば、バランスのとれた着地が可能となる。
 問題があるマンションほど情報を出さないので、情報集約のために一定の条例のようなものがないと、本当に情報を収集したいマンションの情報を得ることができない。問題があるマンションの情報をどのように収集するか考えていく必要がある。
 行政が押さえるべきは最小不可欠の情報で、管理組合が任意で出す情報は、市場で評価されていくものも含めてより詳細なものとなるはずである。この二つを区別するのであれば、必ずしも対立した議論ではない。

○ 高経年イコール老朽マンションではないし管理不全でもない。この辺りを整理したほうが、問題となるマンションがきちんと把握でき、本来把握すべきマンションが限定的となる。

【その他】

◆言葉の定義について

○ 議論の前提として、「高経年」「老朽化」「管理不全」といった部分の定義をある程度はっきりしておいた方がいいのではないか。

○ 「高経年」「老朽化」といった部分の定義づけは非常に難しい。年数や旧耐震かどうかで一概に老朽しているとは言えず、その他の要素の影響が強い。旧耐震であっても適正に管理されているところもある。「管理不全」と「高経年・老朽化」は一定の傾向はあるにしても関連性は強くないのではないか。

○ 「管理不全」や「高経年・老朽化」というのは底では繋がっているものがあるのかもしれないがはっきりしない。築40年を経過するマンションは年々増えていく。これらを全て老朽マンションと捉え、建替えや改修を考える必要があるのかどうか、一定の整理が必要である。

◆管理組合と区分所有者への行政の対応について

○ 管理組合は区分所有者で結成された私的な団体である。個人と団体の性格は異なるが、財産権の保有主体という意味では同じものである。

○ 管理組合はもう少し公共性のあるものだと考えている。廊下やロビーなどの共用部分は自分だけではなく多くの人が使う空間であり、適正な管理がなされるべき場所である。私有財産の塊とまでは言えないのではないか。これまでも行政はそういったスタンスで施策を進め、豊島区でも条例を制定したのではないか。

○ 管理組合は恒常的に存在するが、理事長等は数年ごとに交代する。管理組合は区分所有者の意向を体現しており、区分所有者と管理組合の意向に相違があるということはない。

○ 管理組合は私的な団体であり公的な意味は持たないが、適正化法第4条で定める「適正な管理の努力義務」は管理組合にのみ課されている。適正化法上は管理組合と区分所有者は区別されている。公法である適化法が管理組合とだけ関係を持っているという意味では、管理組合にはある程度公的な扱いをしても許されるのではないか。

○ 管理組合が管理する共用部分と、個人が所有する専有部分について、行政の関与の在り方をはっきりしたほうが良い。専有部分についても行政がコントロールするというような誤解を与えないように配慮するべきである。

◆管理情報の提供について

○ 管理規約や区分所有法により、管理組合が管理情報の提供を行う根拠が定められていない。例えば、標準管理規約に業界団体等が作成したフォーマットを標準化させるなどの仕組みを付け加えてはどうか。管理組合はこのフォーマットを使って管理会社に情報提供する、という項目が追加されれば根拠づけができる。