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平成23 年度 第3 回 東京都住宅政策審議会企画部会 (平成23年9月7日)における資料及び主な意見の概要

資料

主な意見の概要

(今後の住宅政策における取組の視点)

○ 2ページ中段の「市場の整備・改革や市場における担い手の役割の再構築」という表現であるが、後段に記載されている内容との兼ね合いでは、「市場の改革」という表現は、相当大きなイメージがあるため「市場の整備」という表現で十分ではないか。また、「担い手の役割の再構築」という表現についても、「再構築」という言葉の意図が分かりづらいのではないか。

○ 4ページから5ページにかけての、視点4「多様な主体との連携」について、一般都民の感覚からすると、多様な主体の活動や新しい動きが少し見えにくい印象がある。イメージが湧くように内容を補足すれば、審議会としての問題意識や新しい方向性が分かりやすくなるのではないか。

○ 4ページから5ページにかけての、視点4「多様な主体との連携」について、多様な分野間との連携がなければ、真の意味での住宅セーフティネットは構築できないのではないか。「効果的な住宅施策の実現により行財政負担を抑制」するためには、住宅部局の予算だけの抑制だけではなく、都民全体あるいは国全体で限られた財源の中で、いかに効果的な施策をどう実施するかが問われている。そこで、住宅部局だけのツールではなく、総合的に施策を推進するという趣旨を盛り込む必要がある。「住宅政策をとりまく福祉部門や雇用部門との一層の連携」という記載だけでなく、趣旨が伝わるように表現して欲しい。

○ 5ページの「行財政を負担を極力抑制しつつ」という表現であるが、「極力」は不必要ではないか。前段で財政状況が逼迫しているとしていると記載してあるので、「財政負担を抑制しつつ」と表現した方が妥当ではないか。

○ 「行財政負担を極力抑制しつつ」という表現では、財政支出を今より減らしていくイメージとなるので、「限られた財政のもとで」と表現した方がよいのではないか。

○ 行財政負担の抑制についてであるが、様々な分野が総合的に取り組むことが、行財政負担の極力抑制することにつながる訳であり、多様な主体との連携・取組を強化することと、住宅分野だけでなく、他分野間との総合的な連携手法により、住宅困窮者対策に取り組むという趣旨を盛り込むべきである。

○ 「政策実現に向けて」の記載内容をみると、緊縮財政のもと、財政負担が増加し続けるため、まず、財政支出の抑制という前提があって、そのために、新しいソフトな政策を進めていくというふうに読めるのが非常に残念である。直接、ハードを供給するよりも、ソフトを活かした政策に向かっていくというのは、時代の流れであり、理解できると思うが、今の記載内容では、仮に、財政に余裕があった場合には、ハードにこだわった政策を今後も進めていくかのように読める。今の時代に見合った政策に転換していくという意思のもと、逼迫した財政状況もあると表現する方が前向きになるのではないか。

○ 「政策実現に向けて」の記載内容をみると、財政逼迫のため、多様な主体との連携や空き家の活用が必要であるというイメージだけが伝わってしまう。むしろ、これからは多様な主体との連携が重要であり、その中に財政負担の問題もあるという見せ方の表現を工夫する必要がある。

○ 5ページの「政策手段の実現に向けて」の中で「様々な政策手段の活用」と表現しているが、既に存在する政策手段なのか、今後講じていく政策手段なのか分かりづらいため、活用という表現を講じると修正したほうが分かりやすいのではないか。

○ 「様々な政策手段の活用による効果的な住宅施策の実施」については「様々な政策手段による効果的な住宅施策の実施」と表現した方がよいのではないか。

○ 5ページの「政策実現に向けて」の中の「市場のコントロールしていく」という表現について、「コントロール」という表現は強すぎるのではないか。

○ 本編のような住宅政策の中身で、市場をコントロールしようというのは、やはり大上段で誤解を招く表現だと思う。「市場のコントロール」という言葉は避けて、「市場の補完」や「市場の誘導」としていただきたい。

○ 住宅政策において住宅市場を、公正な市場にして欲しいということは大きなテーマであると思うが、皆が納得できる公正な市場になれば、民間取引もきちんと機能するので、公が力を加えて市場をコントロールするというニュアンスは避けた方がよい。

○ 東京都の住宅政策の大きな流れは、前回の答申が、市場重視を大きく打ち立てたことについて、現在、それに対する反省という流れが今回は含まれる。そういう意味では、市場重視主義に対して、少し見直しをしたいということが今回の趣旨であるので、「市場をコントロール」とする表現については、「市場を補完して」というくらいの表現にしてはどうか。

○ 7ページの9番であるが、前回資料では「住宅困窮者の適切な居住の確保」であったものを、「都民の居住の安定確保」という表現にしてしまうと、持家階層、自力で民間賃貸住宅に入居している階層、公共住宅に入居している階層までしか前提になっていないような感がある。これでは、公共住宅にも入れない低質・低家賃の民間賃貸住宅に入居している階層が全く捨象されてしまう。住宅政策では、公共住宅を最後のセーフティネットだという前提で、それ以上の階層を「都民」と呼んでいるという誤解を与えてしまうのではないか。「居住困窮者」や「居住困難者の適切な居住の確保」と表現する必要があるのではないか。

○ 7ページの10番「地震災害からの復興」について、今回の震災のように地震の被害は、東京都だけでなく非常に広域的なものとなる。また、東京都の近隣地域が被災した場合、東京では被害がなくとも、被災地域から避難者が来たり、被災地支援として東京都からも職員が派遣されることとなる。非常に広域的な話であり、地震の起きる事前・事後の広域連携が大切であるため、そのニュアンスを出す必要があるのではないか。

○ 7ページの10番に「万一の地震災害」という表現であるが、起こりうるとされる地震災害等を既に想定した記載内容となっているので、「万一の」という表現を「想定される」などに修正したほうがよいのではないか。今の記載では、もし万一何かあったら、そこだけは対応するというように読めてしまう。

○ 11ページの「省エネルギー住宅の誘導や住宅の長寿命化への取組」の中に「CO2排出削減を図るため、居住者の視点に配慮した」という記載があるが、「東京の木である、多摩産材を使い」と盛り込んだ方がよいのではないか。

○ 14ページの「マンション管理の適正化、マンション再生の誘導」の中に「旧耐震基準により建設されたこれら耐震性の不十分なマンション」と表現されているが、旧耐震基準のもとでもかなりしっかりとしたマンションもあるので、「耐震性の不十分なマンションが多い」というニュアンスで表現したほうがよいのではないか。

○ 14ページの「マンション管理の適正化、マンション再生の誘導」の中の、最初の段落の文章に「賃貸マンションには、維持管理のノウハウに乏しいオーナー等の課題があり」と記載されていて、次の段落の文章には「賃貸マンションにおいては、オーナーの無関心等により、計画修繕が適切に行われていない等の問題も起こっている。」と記載されている。これだけ近い文章であるので、表現を統一し、「維持管理のノウハウに乏しいなどオーナーの課題があり」としてはどうか。

○ 15ページの「マンション管理の適正化、マンション再生の誘導」の中に、「特に早急に改善する必要があるエリアにおけるマンション建替え」と表現されているが、意味を分かりやすくするために、例示を盛り込んだ方がよいのではないか。

○ 15ページの「マンション管理の適正化」について、「購入前の管理規約案・修繕計画の説明の徹底」とあるが、宅建業者である不動産協会の会員などが分譲に際して長期修繕計画を重要事項説明までに説明することになっているので、「長期修繕計画の説明」とするべきである。

○ 15ページの「マンション管理組合の主体性を促し、適正な管理事業者を選択するための情報提供の方法の検討」については、管理事業者が適切な管理をしているかどうかの見極めのための方法について検討していくという趣旨であるので「管理業者の業務状況を確認するための方法の検討」と表現したほうがよいのではないか。

○ 15ページの「マンション管理適正化」について、マンション管理組合の主体性について、議論があったが、主体性を促し適正な管理を進めるためには、マンション管理士や建築士も含め、専門家を活用しながら管理の適正化を図ることも大切である。組合、管理業者、専門家の3者の連携により、適正化を図っていくというイメージを出したほうがよいのではないか。

○ 15ページの「マンション管理適正化」の中の「分譲マンションにおいては、多数の区分所有者がおり、適切な管理を行うのが難しい」という表現であるが、この記載では、多数の区分所有者がいると、適切な管理が難しいとなるので、「合意形成が難しいことなどから」と加えたほうが誤解を生まないのではないか。

○ 15ページの「マンションの管理の適正化」について、マンション管理組合の組合員の高齢化も、課題の例示に加えた方がよいのではないか。

○ 16ページの「分譲マンション再生の誘導等」について、記載内容をみると、建替えについてはしっかりと記載されているが、改修工事についての記載が少ない。マンションの大規模な改修工事は今後増加してくると思うので、改修工事について、もう少し触れておく必要があるのではないか。

○ 16ページの「マンションの大規模改修」という表現は、「マンションの大規模修繕」とする方がよい。「修繕」というのは、本来、原状回復するという意味であり、大規模修繕にあわせて、耐震改修工事も行うというのが現在の定番である。「大規模改修」という言葉は、例えば、共用施設をかなり大幅に変更したり、一部ベランダに増築したり、かなり大幅なものを「改修」と呼んでいる。そこで、言葉づかいを整理し、「建替え・大規模改修」と記載できる箇所については、修正したほうがよいのではないか。

○ 16ページの「分譲マンション再生の誘導等」について、建替えが原則であるというイメージが感じられるため、改修についても、もう少し記載したほうがよいのではないか。

○ 「マンション」の表現について、分譲マンションを指すのか、賃貸マンションを指すのか混乱しない為に注釈を入れるか、あるいは、使い分けをはっきりする必要があるのではないか。

○ マンション管理適正化法は施行から10年以上経過し、法律用語としては、マンションとは分譲マンションであるという理解が定着しつつある状況なので、読み手が混乱しないためにも本編の前段で明記したほうがよいのではないか。

○ 19ページの「市場におけるルールづくり」の中で「既存住宅取引時に検査等が全く行われていない場合は8割以上と高くなっている。既存住宅については、建物の品質やリフォーム等の履歴情報が十分に得られないことから、その品質や性能等に不安を感じる消費者が多く、既存住宅流通は伸び悩んでいる。」と記載されている。既存住宅流通が伸び悩んでいる理由が、履歴情報が十分に得られないからと読めるが、それだけではないのではないか。

○ 19ページの「市場におけるルールづくり」の中の「退去時において、家主が敷金や保証金の返還に応じない、高額な原状回復費用を請求されたなど原状回復における相談が多くなっている。」の次の文章で「民営借家の大半が個人大家であり、約7割が管理を委託しているが、書面による契約をしていない。」と記載されている。このように表現されると、書面により管理契約をしていないことが、問題の根幹のように思われてしまうが、書面による管理契約がないために、原状回復が高額となったり、敷金の返還をしないということは起こり得ない。

○ 19ページの「市場におけるルールづくり」について、市場に新しくルールを作るわけではないので「市場を補完するルールづくり」と表現したほうがよいのではないか。また、「検査が行われていない割合は8割以上」や「全国平均と比べて2割以上高く」などと記載されているが、こうした数字のデータ資料集を付けるなど、数字が一人歩きしないようにする必要がある。

○ 20ページの「住宅履歴情報等の活用」について、修繕履歴や管理状況も含めて情報提供を行い、図面等についても補完制度を検討すると記載されているが、マンションについては、都の優良マンション登録表示制度、マンションみらいネット、履歴カルテなど、情報提供システムが既にある。新たな制度の検討も必要であるが、既存の履歴情報システムの一層の普及・活用を図る観点も盛り込んでおく必要があるのではないか。

○ 20ページの「消費者の意識や関心の向上」の中に「消費者の安心を確保するため、専門的知識を有する第三者の立会いについても検討すべきである。」という記載があるが、消費者の安心を確保するためには、専門知識を有する第三者の活用を促進していくという表現の方が適当なのではないか。

○ 20ページの「消費者の意識や関心の向上」の中の「住宅に関する客観的な評価を行う」という表現について、「住宅」というと、土地と建物を指すため、土地に関する客観的な評価を行う第三者機関の育成とも受け取れる。そこで、建物の客観的な評価について、ということでよいのではないか。

○ 20ページの「賃貸住宅におけるルール等」の中に「敷金預かり制度の検討」という記載があるが、例えば第三者が保証する制度など、具体的なイメージを持って記載したのか。

○ 21ページの「住宅市場の誘導・適正価格の住宅の提供」の中に「東京の新築戸建住宅は全国平均と比べて2割以上高く、都民の求める価格を実現できていない。」と表現されているが、都として住宅価格について全国平均価格を目指していくという誤解を与えるのではないか。

○ 21ページの「住宅市場の誘導・適正価格の住宅の提供」の中に「適正な負担でニーズに見合った住宅を取得できるよう」という文章があり、後段に「シェア居住の普及による居住費負担の軽減」と続いているが、適正な価格での住宅取得と、居住費負担の軽減では、全く違う内容であるので、別の話として整理した方がよいのではないか。

○ 21ページの「住宅市場の誘導・適正価格の住宅の提供」の中に「保有コストの負担増加などを活用した空き家の流動化」とあるが、全体に税金が高くなるような印象があるので、あくまでも利用されていない住宅に対する保有コストの負担増という意味が分かるように記載するべきである。また、シェア居住など、プラスのインセンティブも与える必要があること、空き家を壊したくても壊す費用が出ない方も多く存在するのでそういう方に、更に課税するのではなく、利活用の支援についても盛り込み、「負担増加や利活用のための支援などを活用した」というニュアンスとする方がよいのではないか。

○ 22ページの「公共住宅でのセーフティネット機能の強化」の中の、「生活保護制度など他制度との関連を踏まえつつ、供給方法の検討を図るべきである。」という表現であるが、あくまで公共住宅の範囲の中での取組と読めるが、もう少し踏み込む必要はないのか。

○ 22ページの「公共住宅でのセーフティネット機能の強化」について、入居優遇制度と供給方法の検討が同列で記載されているため、印象が弱くなっている。「既に行われている入居選考における各種優遇制度のより的確な運用を図るべきである。」で区切り、続けて「さらに、生活保護制度など他制度との関連を踏まえつつ、供給方法の検討を図るべきである。」と記載した方がよいのではないか。

○ 22ページの「多様な主体によるセーフティネット」については、「多様な主体と分野によるセーフティネットの構築」と表現するほうが意味が通るのではないか。

○ 22ページの「都民の居住の安定確保」に関して、セーフティネットの構築は、単に組織が連携すればよいだけではなく、サポートする中身について記載する必要があるのではないか。今、セーフティネットを構築する必要性は大きく3つある。1つ目は、居住の場を定めることにより生活全体が安定するということ、2つ目は、居住の場が定まれば、特に高齢者や子供がいる家庭に対して、日常的に生活支援を的確に届けることが可能となること、3つ目は、特に若い世代の場合、居住の場が定まると就業機会が増え、次のステップを考えられるようになることである。生活保護3兆円時代と言われ、そのうちの10%は東京都にも関係があるので、もう少し踏み込んで記載する必要がある。

○ 23ページの「防災計画等の見直し」の中の「応急仮設住宅への民間賃貸住宅を含めた既存住宅ストック活用」という記載であるが、今回の震災で、実際、被災者の方にあっせんを行った際は、面積、価格、耐震基準や建物の性能など、非常に要望が多かった。実際には、既存住宅ストック活用には当てはまらなかったということがある。

○ 24ページの「高度防災都市づくりに向けて」の中の「今回の大震災を教訓に、新たな被害想定に基づき」という記載の中に、広域的な視点からの検討の必要性を盛り込むべきである。