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平成23年度 第2回 東京都住宅政策審議会企画部会 (平成23年7月14日)における資料及び主な意見の概要

資料

主な意見の概要

(今後の住宅政策における取組の視点)

○ 「目指すべき住宅・住宅市街地」の視点の説明に、住宅単体だけでなく、都市 レベルでのエネルギーのネットワークやエネルギー供給を受ける側の住宅のある べき姿を盛り込んだほうがよいのではないか

○ 「住宅市場」の中の「時代のニーズに応えられる住宅産業への転換」に関して、これまでの議論では供給主体であるハウスメーカーに関する産業施策については、あまり議論していなかったため、住宅産業の転換という表現は少し唐突に感じられる。取組事項例を見ると、メーカーサイドだけではなく不動産業も含めて全般的に取組があるので、住宅産業だけを特筆するよりも、住宅・不動産業とした方がよいのではないか。

○ 「住宅市場」の中の「住宅市場における良質な住宅供給に向けた誘導」に関して、住宅供給というだけでは、ハウスメーカー側だけに視点を置いた表現となるので、「住宅供給・蓄積・流通」と表現した方がよいのではないか

○ 住宅セーフティネットに関して、最近、生活保護受給者や低所得者が増加しているという問題意識を背景に盛り込み、その上で、住宅セーフティネットを、公共のみで担うのは困難なため、社会・地域・NPOで支えていくということを表現する方がよいのではないか。

○ 「政策手法の指針」の中の「行政による直接供給や補助金による促進等を中心とした政策から、条例制定等の新たなルール整備など規制・規制緩和や税制などによる市場の誘導施策を中心とした政策への転換」に関して、条例制定等による規制は、市場に直接介入する形なので、誘導施策と表現するのはふさわしくないのではないか。また、補助金などの財政支援は、むしろ誘導施策の代表的な事例ではないか。

○ 「政策手法の指針」の中に、「効率的な住宅施策の実施」と表現されていることに関して、「効率的」という表現では、セーフティネットの視点が欠落してしまう可能性があるので、「効果的」と表現した方がよいのではないか。

○ 「政策手法の指針」の中の「行財政負担を極力抑制」と表現されていることに関して、優先順位の判断が必要となるので、「優先順位を明確にした施策の実行」と表現する方が、限られた財源の下で、施策を選択しなければいけないという趣旨が伝わるのではないか。行財政負担を極力抑制ということと同時に、より優先度の高い施策から着実に実行に移すという視点も必要であるし、また、都民も、自ら行えることは、率先して自分自身で行うという視点も必要ではないか。

○ 高齢者や子育て世帯、貧困世帯の問題においては、住宅というのは単なる必要条件であり、福祉、医療、就労、就業というような総体的な切り口で取り組んでいく必要がある。「効果的な住宅施策の実現により行財政負担を極力抑制」するためには、住宅部局の予算だけの抑制ではなく、都民全体あるいは国全体において限られた財源の中で効果的な施策をどう実施するのかが問われており、都においても住宅部局のみならず総合的に施策を推進し、また、より効果的な行財政に特化していく必要がある。

○ 住宅部局以外に様々な部局との連携が必要であるということがはっきりと分かるように表現する必要がある。

(環境負荷の小さな住宅・住宅市街地)

○ 「再生可能エネルギー等」の中で「家庭における電力確保に向けた太陽光発電システム、太陽熱利用システム、ガス発電給湯器、燃料電池等の家庭における創エネルギー機器の導入促進」と表現しているが、「家庭における電力確保に向けた」とするよりも「環境負荷の削減に向けた」と表現したほうが適切ではないか。

○ 人口減少や少子高齢化の進展に加え、エネルギー転換の問題も居住地に大きな影響を与える可能性がある。エネルギー転換により、働き方が本質的に変わってしまったり、衣食住のあり方自体も大きく変化する可能性がある。エネルギー転換による居住地再編、更には住宅単体での発電や消費も含め、ドラスティックな変化が起こるのではないか。

(震災に強い住宅・住宅市街地)

○ 「木造住宅密集地域の整備」について、土地所有者と家屋の所有者が異なる上に、借家人も異なる場合のように権利形態が複雑であるため進んでいないのが現場の実態である。「施策を組み合わせた効果的な手法により」と表現されているが、実効性のある方策はあるのか疑問である。

○ 「マンションの防災性向上」について、マンションの耐震診断の義務化のみでなく耐震補強工事を推進していく体制も合わせて検討すべきではないか。

○ 戸建住宅やマンションの耐震化に関して、耐震診断の義務化の検討ということだけでなく、耐震補強・耐震改修についてもセットで強力に進めていくという内容にしたほうがよいのではないか。

(景観や良好な環境に配慮した住宅まちづくり)

○ 「自主的なまちづくりの誘導」の「地域の活動団体に権限を与える仕組みの検討」という記載は「地域の自治を促進する仕組みの検討」と表現したほうがよいのではないか。

(マンションの適正化・再生)

○ 「マンションの適正化・再生」の「分譲マンション居住者への情報提供」に関して「管理説明会の義務化などの検討」と記されていることについて、管理説明会の時期・説明主体を、いついずれの者とするのかは様々な会合で議論が交わされている。
また、「購入前の管理規約案、修繕計画の情報開示」と記載されていることについて、この2つの資料は購入時に重要事項説明書の附属資料として、購入者に渡されているものの、全く説明がされないことが多く、入居後に、その重要性が徐々に認識されるという実態があるので、管理規約案、長期修繕計画案の説明をまずは宅建業者がしっかりと行うべきであると表現した方がよいのではないか。

○ 「分譲マンション居住者への情報提供」について、分譲マンションの購入者に対し、購入前に管理説明会を行うことが理想であるが、それが困難であるならば、入居後早い段階で管理説明会を行い、管理規約や修繕計画の見直しの必要があるのであれば、その場で課題を出すということなら現実的ではないか。

○ 「マンション管理の主体である管理組合の自覚の促進」について、マンション管理組合が自分たちの問題と認識し、自分たちで判断してやっていくという、管理組合を自立させるための取組を取組事項例に記載すべきではないか。

○ 「マンション管理業者への適切な指導、啓発」という表現について、行政が問題あるマンション管理業者を、指導するように読み取れるが、これまでの議論では管理組合が適切な管理業者を選択するためには、どの様にしたらよいかということだったので、議論の内容に合う表現にすべきである。

○ 「マンション管理の主体である管理組合の自覚の促進」について、管理会社に委託されている業務というのは一部であって全てではないこともあり、またそもそも管理組合全体の業務が適正であるかどうかの確認は、標準管理規約で監事の役割とされている「管理組合の業務の執行及び財産の状況の監査」をいかに適切に 遂行していくかということに帰着することでもあり、組合員の主体性の確立を含めた形で、管理組合業務の適正な監査方法の検討という観点から進めていくことが必要ではないか。

(市場におけるルールづくり)

○ 「市場におけるルールづくり」の「履歴情報等の住宅情報」に「住宅取引における提示の義務化の検討」とされていることについて、いずれは義務化ということも必要かもしれないが、どのような住宅を対象とし、どの様な内容を義務化するのかなどは、現状から考えると、まだ困難なのではないか。また、「消費者保護」の中に、「契約時の第三者立会い制度の検討」と記されていることについて、具体的な制度のイメージが分からない。

○ 「住宅の履歴情報等」について、東日本大震災の被害状況を見ると「土地情報」がかなり重要であると思われる。浦安市では大規模な液状化が発生したが、住宅そのものより、土地がどういう状態であったかということの履歴情報が、大きな影響を与えている。住宅の履歴情報には、土地に関する情報や災害の危険性も情報開示し、取引を推進していくことが必要ではないか。

(地震災害からの復興)

○ 「地震災害からの復興」及び「高度防災都市づくり」において、論点や取組事項例にマンションや賃貸住宅については挙げられているが戸建住宅についても検討する必要があるのではないのか。

○ 「地震災害からの復興」と「高度防災都市づくり」の議論の中で、今まで戸建住宅についての議論がなかったのは、戸建住宅については、被災者生活再建支援制度という国の制度が既に整備されているからということがある。

○ 地震により 、東北地方では非常に大きな「環境破壊」がおきたが、一方で、東日本大震災に伴う原子力発電所事故により福島はもとより東京においても広範な「環境汚染」がおきている。子供のいる母親はホットスポットに関する情報で一喜一憂している状況がある。汚染された土壌を除染しても放射性物質を処理する術がある訳ではない。こうした環境汚染に対して土地の履歴情報の蓄積というこ とも含めてどう取り組むのかということも企画部会で踏まえておく必要があるのではないか。

○ エネルギー転換の問題は未来予見的であるが、放射性物質による環境汚染問題は、現在直面し対処しなければならない問題である。後者については関係部局が連携して対応する必要があるので、直面している喫緊の課題という形で盛り込んでおく必要があるのではないか。

○ 原発事故による環境汚染問題については、東京都にとって重要な問題であるのか否かという判断もあるのではないか。

(その他)

○ 取組事項の多くが、「検討」となっているが、「検討」をもう少しイメージアップし、具体的イメージのある施策については、中間のまとめにおいては、できるだけ具体的な表現とすべきである。

○ 記載されている様々な施策について、国で取り組むべきものか、東京都や区で独自にルール化して実施するものか、東京都で取り組むものかを整理し、国への提言とするものかを仕分けする必要があるのではないか。