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平成21年度 第1回東京都住宅政策審議会(平成22年2月8日)における資料及び主な意見の概要

資料

主な意見の概要

(人口減少、空き家関連)

○ 住宅マスタープランは2006年から2015年の計画となっているが、今後、住宅政策をもっと戦略的に考えていく必要がある。リーマンショック以降、マーケットオリエンテッドで見た場合、今までのやり方では、うまくいかない状況になっているのではないか。2008年には、35歳以上人口と60歳の人口がすでにピークに達した。そして、向こう35年、人口は減り続ける。団塊世代の、熟年シニアの子育てが終わり可処分所得のある人たちも向こう15年間減っていく。これまでは住宅を増やすことを考えてきたが、未曾有の住宅需要減となる。今後これをどう捉えるのか、若者の未来の展望をどのように考えるのかといった視点が必要。

○ 東京都に限ると人口・世帯はまだ微増傾向であまり差し迫った危機は感じないというふうに読める場合もあるし、逆に、例えば空き家ストックが出てくるといった歪みが出ているというふうに理解しなければいけない部分があり、地域差があると思われる。

○ 資料3、P3の人口の都心回帰について、職住のバランスはどうかといった観点から、昼夜間人口比率などのデータを示してほしい。

○ 最近の住宅の政策に関連して、空き家を有効利用することにより住宅に困っている人に対してもう少し安上がりに政策を講じることができるのではないかと感じている。この空き家が有効利用可能な空き家なのか、木質アパートなどのように古くて利用が無理な空き家なのかなど、空き家ストックについて内訳のデータはあるか。

(少子高齢化関連)

○ 資料3、P33に関連して、資料には記載されていないが、1981年から開始したシルバーピアは今では1万戸弱くらいあり、住宅政策と福祉施策の連携として重要な意義をもっているのではないかと思われるが、どのように取り組まれているのか。

○ ケア付き住宅を含め、高齢者対策は進んできているように感じるが、子育て支援については更なる取組が必要と感じる。資料3、P10によれば、昨年から今年にかけて待機児童数の数が急増しているが、その原因はなにか。

○ 都では、ケア付きすまいを平成22年度から供給していくとしており、これ自体はいいことだが、基礎的自治体の立場としては、当地域においては全6万8千世帯のうち約5,800戸が公営住宅であり、現在でも生活保護や介護保険、医療保険等の負担が大きい。新しいケア付きすまいをどんどん展開し、一部地域に集積されることも懸念される。施策の展開に当たっては、事前に地元区市町村と協議が必要。

○ 資料3、P7のように、高齢者には階層性がある。図の下部の借家世帯、特に単身世帯は、起死回生の策がない世帯で、人生最後にたどりついたのが借家という世帯。住宅だけでは対応が困難な状況にどう取組んでいくかが課題。

○ 資料3、P35を見ると、都営住宅の高齢化はかなり進んでおり、自治会の活動などが困難になってきているが、こうしたことへの対応策はどのように考えているのか。

○ 待機児童数の増加について、地域的な需給ギャップについてのデータはあるのか。

○ 少子化対策に関して、昨年末、地方分権改革推進委員会の第3次勧告を受けて、厚生労働省により、東京都などの保育所一人当たりの面積を緩和できる措置がなされた。子育て支援のために重要な内容であり、住宅施策とも連携して、子供たちのための環境を作っていく施策を進めてほしい。

(経済状況関連)

○ 経済が厳しい状況では、世帯を一緒にする傾向が強い。大学の学生も以前は大学の近くで一人暮らしをしていたが、今では自宅通学に切り替えている。そういう見取りができるデータの見方も必要ではないか。

○ 昨今の経済状況で住宅を得られない人が出現しているが、福祉部局等ではそういった状況を把握しているのか。住宅施策と福祉施策との連携を重視する必要がある。

(マンション管理、建替等)

○ 資料4、P8におけるマンションの分譲時点での管理に関する関心の低さについては、大まかに確認したものを含めると改善されてきており、近年は、関心が少しずつ高まっているという認識である。

○ 資料4、P12では、マンション建替え円滑化法に基づく建替えについて記載されているが、円滑化法を使っていない建替えはどれくらいあるのか。円滑化法以外の方策や他の支援策が必要ではないかという視点から伺いたい。

○ 資料4、P7において、マンションについては、建替えよりも修繕の問題が深刻になってくると考えられる。建替えはもとより、積極的な改修や普通の修繕もおぼつかないマンションが増えてくるのではないか。大規模修繕を実施していなかったり、計画が無いというのは、居住者の高齢化や修繕積立金の滞納が多いといったこととも関係していると考えられる。マンションの修繕の状況について、マンションの規模や居住者の年齢、分譲時期等のクロス集計が可能であれば知りたい。

○ マンション建替えが今後より深刻になっていく中で、相談窓口に寄せられている相談内容から把握できる課題、例えば、都心部と郊外部のマンションそれぞれの課題にはどのようなものがあるのか。

○ 分譲マンションの建替えについて、資料4のP11のように、区分所有者の建替えに関心がないことの背景には、区分所有者が建替えをあきらめ、マンションを賃貸化している人がかなりいるのではないかと思われる。そういうデータを調べてみるといい。賃貸化すると区分所有法だけでなく、借地借家法が適用され、借家人を簡単には退去させることができなくなり、一番深刻な場合はスラム化することも考えられる。アメリカの法律では、ターミネート(解消)とすると言うことで、この問題を解決しているが、日本では建替えで、今住んでいる人が集まってもう一度そこに住む前提で法律がつくられていることがネックだと思う。

○ マンションでも今後、減築が必要になってくる。限られている補助金などで建替えができても、空き家が増えて非常に非効率になってしまう。都としても、減築に関しての展望を検討する指針のようなものを出せたらと思う。

○ 建物としての住宅だけでなく、そこに住まう人間についても、住宅政策で扱うべき。これまではある一定の地域コミュニティがあったが、最近では、超高層を含む民間マンションの中にコミュニティができており、それを考えないと行政運営ができないことも生じている。ある一定規模で住宅の中に人が住み、コミュニティをつくり始めているが、住宅政策としてどう見るのか。今後の展開として住まう場所のほかにコミュニティ的なものとしての住宅の役割をどう考えていくか、検討が必要。

(その他)

○ 資料4、P10の左の図では、1981年以降のマンションにおいても耐震診断を行っていないものが91.1%となっているが、これは新耐震基準を満たしているから実施しないのか、別途何か問題があるのか。耐震診断が不要だとすれば、この資料は必ずしも必要ないのではないか。

○ 資料3、P20の木密地域に関連して、国の住生活基本計画では10年以内に解消する旨を定めている。ここでいう木造住宅密集地域と国の住生活基本計画におけるものと定義が同一かどうか分からないが、都ではまだ木造住宅密集地域が広範に残っているように見える。現在どのような状況にあり、今後どのように解消に向かっているのか。

○ 資料3、P26の右の図に関連して、マンションの一戸当たり平均専有面積が減少しているが、ワンルーム等が増えれば全体が下がる。以前の住宅政策審議会においても、世帯当たりの床面積を80㎡まで増やすことを目標にすべきとの議論があったが、実態を的確に伝えるために、4人世帯の平均床面積の動向とワンルーム等を含んだ高齢者2人用世帯などとは区分して考えた方がいい。

○ 一人当たり床面積の推移のデータを示す方法もあるのではないか

○ 地方分権改革推進会議における、公共住宅などに関する自治体への新たな権限委譲についての検討はどのような状況か。

○ 今回の資料は、一定の整理はされているものの、議論の方向性については明確でない。当面のことか、長期のことか、また、マスタープランの改定の方向に向けての議論なのか、それとも現在の住宅施策の課題や当面の施策についての議論なのかといった方向性によって議論は分かれてくる。

○ 過去の議論を踏まえた検討が必要。マンション・高齢化・人口減少などについても以前から検討してきたが、どれくらい解消されているのか、深刻化しているのか。政策の効果や問題点をもう少し細かく検証して進んでいく必要がある。